さて、深久の場合。
2003年4月10日待ち合わせ時間は12時でしょ。横浜駅改札前だから後・・やっば!2時間しかないじゃん。
急いで支度しなきゃ。えっと、何着て行こうかな。やっぱこの前買ったあれがいいかな?チュニックみたいな裾の長いやつ。あ、ダメだ。あれに合うジーンズ洗っちゃってるんだった。
じゃあおとなしめにワンピ?いやいや大人っぽくミニスカかな?あ〜もうっやっぱお花がついたひらひらスカートに細身のパンツ合わせて・・・うん、よし。上はグレーのトレーナーがベストでしょ。よっしゃ。
あ〜んマスカラってなんでまぶたにも付いちゃうの?綿棒どこだっけ?綿棒綿棒綿・・・あった♪やだっチーク付け過ぎたじゃんもうっ
靴・・あのとんがり靴どこしまったっけ?あ、これこれ。・・・やっぱブーツの方がカワイイかな・・でもそうするとまた服変えなきゃだし・・いっか。ブーツ君はまた今度ね。
やだ〜髪まだやってなかったよ〜(涙)しかも寝癖ついてるし・・ストレートフォームって最強だね。ふふん。
あっもうこんな時間だ。
えっと、携帯、お財布、ハンカチティッシュお化粧道具おうちの鍵・・・バッグはこれで・・うんおっけい!
(こうしてデート前の女の子ができあがります。)
「あ、ハル君お待たせ〜」
学校帰りの制服姿のハルが目に入り、小走りに駆け寄るとめちゃめちゃ不機嫌そうな声で遅いよ、と言われてしまった。
「でもまだ待ち合わせ時間まで5分はあるよ?」
「オレは15分前から待ってたのっ」
「・・・ごめん・・ね?」
なんか腑に落ちないけどとりあえずあやまってみる。
するとハル君はさっさと歩き出した。私は慌ててその後を追いかける。
「怒ってる?」
おずおずと聞くと笑顔が返ってきた。
「別に。それより何食う?オレもう腹減っちゃってさ〜」
「何でもいいよ。ね、ハル君歩くの早いよ」
「そう?あ、マックあった。いいよな?マックで」
私の言ったことを聞いてるのかいないのか、ハル君のスピードは変わらない。よっぽどおなか空いてるんだなってちょっとおかしくなった。
バイト以外でこうして会うのは初めてなのに、ハル君の態度はいつもと全然変わらない。
それぞれ注文を終えて席に着くとハル君はバーガーにかぶりついた。
そんな姿も普段どおりなのにデートだって思うだけで何だかどきどきして意識しながらポテトを一本ずつ食べてたらハル君が笑った。
「何だよ、いつもの豪快さはどこいったんだよ?」
「だって・・なんか緊張する・・ハル君は平気なの?」
「オレだって緊張してるよ」
手を伸ばして私のポテトを3本もいっぺんに口の中に放り込む。
「でも今更取り繕いようないよな?だってオレ深久のドジでボケなとこよ〜く知っちゃってるもん」
「私だってハル君が短気でお気楽オトコなの知ってるけどさ」
「え?オレ短気じゃないよ」
むっとした顔でハル君がコーラをすすった。
「ほらそういうトコ」
手にしていたポテトでハル君を指し示そうとした時自分の手が当たってオレンジジュースが倒れそうになった。
でもその瞬間ハル君の手が伸びてきて紙コップをギリギリセーフで抱き起こしてくれた。
「ほら、深久もドジっこ」
へへ〜んって顔して笑われるのが悔しくて、でもおかしくて私はつい笑ってしまった。
ハル君は人を和ませるのが上手いと思う。
くるっくると表情が変わる。多分感情を隠せないんだと思う。
そんな嘘のつけない彼には友達もいっぱいいて、いつも人に囲まれてる。
高校での彼の生活がどんな感じかはわからないけど、きっとやっぱりみんなからかわいがられてるんだろうな。
「この後どうする?」
早くも二個目のバーガーを食べながらハル君が聞いてきた。
「コスモクロックにのりたいな〜」
横浜港の前にある大きな時計のついた観覧車だ。カレシが出来たら絶対乗りたいねって前々から友達と話してたナンバーワンデートスポット。でもハル君は食べている照り焼きがまずいかのように手元を眺めて言った。
「オレまどろっこしいのキライなんだよね。」
その言葉にちょっとむっとしてしまった。
「だったら聞かなきゃいいじゃん」
「聞かなきゃいい悪いもわかんないだろ?」
「じゃあハル君はどこに行きたいわけ?」
「いいよそのコスモなんたらで」
いやならいいよ、とのど元まで出掛かったけど何とか言葉をのみこんで無理矢理笑顔を作った。
「ありがと。でも行きたいトコがあるんなら遠慮なく言ってね?せっかくのデートだもん」
「オレ深久といられるなら別にどこでもいいよ」
さらっと言われ、私はちょっと嬉しかった。
ちょっとひねくれ者だけど、ちゃんとそういう事言ってくれるのがハル君のいい所だ。
電車で桜木町まできてクイーンズスクエアの方へ歩いていたらすごい人並みで、一瞬ハル君を見失ってしまった。
「ハル君?」
小さな声で呼んでみるとすぐ真横から手をつかまれた。
「いるだろ、ここに」
そういって手をつないだままずんずん歩き出す。
「ハル君・・・顔真っ赤だよ?」
「うるせえなあ」
毒づきながらも離さないで人ごみをすり抜けていく。ふと、私、この人好きだなあと、思った。
バイトしてる時は明るくて一緒にいると楽しい友達って感じで、つきあおうぜって言われたときはかなりびっくりした。だけどあっさりうんって言っちゃったのは自分でも知らないうちにハル君のこと、結構気に入ってたんだと思う。
急いで支度しなきゃ。えっと、何着て行こうかな。やっぱこの前買ったあれがいいかな?チュニックみたいな裾の長いやつ。あ、ダメだ。あれに合うジーンズ洗っちゃってるんだった。
じゃあおとなしめにワンピ?いやいや大人っぽくミニスカかな?あ〜もうっやっぱお花がついたひらひらスカートに細身のパンツ合わせて・・・うん、よし。上はグレーのトレーナーがベストでしょ。よっしゃ。
あ〜んマスカラってなんでまぶたにも付いちゃうの?綿棒どこだっけ?綿棒綿棒綿・・・あった♪やだっチーク付け過ぎたじゃんもうっ
靴・・あのとんがり靴どこしまったっけ?あ、これこれ。・・・やっぱブーツの方がカワイイかな・・でもそうするとまた服変えなきゃだし・・いっか。ブーツ君はまた今度ね。
やだ〜髪まだやってなかったよ〜(涙)しかも寝癖ついてるし・・ストレートフォームって最強だね。ふふん。
あっもうこんな時間だ。
えっと、携帯、お財布、ハンカチティッシュお化粧道具おうちの鍵・・・バッグはこれで・・うんおっけい!
(こうしてデート前の女の子ができあがります。)
「あ、ハル君お待たせ〜」
学校帰りの制服姿のハルが目に入り、小走りに駆け寄るとめちゃめちゃ不機嫌そうな声で遅いよ、と言われてしまった。
「でもまだ待ち合わせ時間まで5分はあるよ?」
「オレは15分前から待ってたのっ」
「・・・ごめん・・ね?」
なんか腑に落ちないけどとりあえずあやまってみる。
するとハル君はさっさと歩き出した。私は慌ててその後を追いかける。
「怒ってる?」
おずおずと聞くと笑顔が返ってきた。
「別に。それより何食う?オレもう腹減っちゃってさ〜」
「何でもいいよ。ね、ハル君歩くの早いよ」
「そう?あ、マックあった。いいよな?マックで」
私の言ったことを聞いてるのかいないのか、ハル君のスピードは変わらない。よっぽどおなか空いてるんだなってちょっとおかしくなった。
バイト以外でこうして会うのは初めてなのに、ハル君の態度はいつもと全然変わらない。
それぞれ注文を終えて席に着くとハル君はバーガーにかぶりついた。
そんな姿も普段どおりなのにデートだって思うだけで何だかどきどきして意識しながらポテトを一本ずつ食べてたらハル君が笑った。
「何だよ、いつもの豪快さはどこいったんだよ?」
「だって・・なんか緊張する・・ハル君は平気なの?」
「オレだって緊張してるよ」
手を伸ばして私のポテトを3本もいっぺんに口の中に放り込む。
「でも今更取り繕いようないよな?だってオレ深久のドジでボケなとこよ〜く知っちゃってるもん」
「私だってハル君が短気でお気楽オトコなの知ってるけどさ」
「え?オレ短気じゃないよ」
むっとした顔でハル君がコーラをすすった。
「ほらそういうトコ」
手にしていたポテトでハル君を指し示そうとした時自分の手が当たってオレンジジュースが倒れそうになった。
でもその瞬間ハル君の手が伸びてきて紙コップをギリギリセーフで抱き起こしてくれた。
「ほら、深久もドジっこ」
へへ〜んって顔して笑われるのが悔しくて、でもおかしくて私はつい笑ってしまった。
ハル君は人を和ませるのが上手いと思う。
くるっくると表情が変わる。多分感情を隠せないんだと思う。
そんな嘘のつけない彼には友達もいっぱいいて、いつも人に囲まれてる。
高校での彼の生活がどんな感じかはわからないけど、きっとやっぱりみんなからかわいがられてるんだろうな。
「この後どうする?」
早くも二個目のバーガーを食べながらハル君が聞いてきた。
「コスモクロックにのりたいな〜」
横浜港の前にある大きな時計のついた観覧車だ。カレシが出来たら絶対乗りたいねって前々から友達と話してたナンバーワンデートスポット。でもハル君は食べている照り焼きがまずいかのように手元を眺めて言った。
「オレまどろっこしいのキライなんだよね。」
その言葉にちょっとむっとしてしまった。
「だったら聞かなきゃいいじゃん」
「聞かなきゃいい悪いもわかんないだろ?」
「じゃあハル君はどこに行きたいわけ?」
「いいよそのコスモなんたらで」
いやならいいよ、とのど元まで出掛かったけど何とか言葉をのみこんで無理矢理笑顔を作った。
「ありがと。でも行きたいトコがあるんなら遠慮なく言ってね?せっかくのデートだもん」
「オレ深久といられるなら別にどこでもいいよ」
さらっと言われ、私はちょっと嬉しかった。
ちょっとひねくれ者だけど、ちゃんとそういう事言ってくれるのがハル君のいい所だ。
電車で桜木町まできてクイーンズスクエアの方へ歩いていたらすごい人並みで、一瞬ハル君を見失ってしまった。
「ハル君?」
小さな声で呼んでみるとすぐ真横から手をつかまれた。
「いるだろ、ここに」
そういって手をつないだままずんずん歩き出す。
「ハル君・・・顔真っ赤だよ?」
「うるせえなあ」
毒づきながらも離さないで人ごみをすり抜けていく。ふと、私、この人好きだなあと、思った。
バイトしてる時は明るくて一緒にいると楽しい友達って感じで、つきあおうぜって言われたときはかなりびっくりした。だけどあっさりうんって言っちゃったのは自分でも知らないうちにハル君のこと、結構気に入ってたんだと思う。
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