初めての、キス。
2003年4月23日「いや〜食った食った」
満足そうにおなかをさすってハル君が満面の笑顔を見せた。
ハル君って見てて気持ちいいくらい、よく食べる。
ひょろっとしてるくせにそのエネルギーはどこに消えるんだろう?
羨ましいくらい。
こんなとき、ああ男の子だなあって感じてしまう。
お兄ちゃんはどっちかっていうとゆっくりゆっくり食べて食事することを楽しむ人だけど、ハル君は違う。
おなかにあいたスペースを早く埋めたいって感じ。
その豪快さには惚れ惚れしちゃう。今もラーメン替え玉3個を15分くらいでぺろりだもん。
「なあ、まだ時間平気?」
ハル君が私の顔をのぞきこんだ。
腕時計は7時半を指している。
「うん、9時くらいまでなら」
お兄ちゃんにはさっきメールを入れといたし、明日はバイトも休みだからちょっとくらいゆっくりしても大丈夫。
「じゃあ少し散歩しよう。オレあっついや」
中華街を抜け、海の方へ手を繋いで歩き始めた。
ハル君は相変わらず歩くのが早い。
私より少し背が高いから多分足の長さの違いなんだろうけど、それにしても早い。
私は必死になってそれに合わせて、2回もつまずいてしまった。
「ま〜た深久はドジだなあ」
その度にからかわれたけど腹は立たなかった。
こうして手を繋いで一緒にいるだけでとっても幸せな気分だったから。
潮風がふいに鼻先を掠める。
おっきな船が停泊している港に出た。
氷川丸だ。
小さいとき、お兄ちゃんと一緒にここに来たとき、中が見たいって駄々をこねて困らせた記憶がある。
小遣いが足りないから今日はごめんなって言われて、泣き出しそうになって。
その次の月、お小遣いもらったらすぐに連れてきてくれたお兄ちゃん。
急にそのことが思い出されて少し切なくなった。
あの時の私ってほんと何にもわかってなかったなあ・・。
夜もまだ早い時間なのに、山下公園にはカップルがいっぱいいる。
ライトアップしたレインボーブリッジと、この前乗り損ねた大観覧車がライトアップされて遠くに見えるのがロマンティックだからかな。
海沿いのベンチも柵の所も恋人たちが近い距離で腰掛け、語らい合っている。
なんだか照れくさくなって私たちはどんどん歩き、噴水と花壇でできた階段の方へ歩いてきた。
そこにもぽつんぽつんとベンチがあって、やっぱりカップルが座っている。
歩いていくうち、小さな小道のベンチがひとつあいていた。
「座る?」
いつの間にか言葉数が少なくなっていたハル君がぶっきらぼうに聞いてきた。
「うん」
急に心臓が高鳴りだす。
控えめにハル君の隣に腰掛けるとひんやりした木の感触がジーンズ越しにも感じられた。
「なんでそんなに離れるんだよ?」
怒ったような口調でハル君に言われ、私は黙ってそっと寄り添う。
「なんだかカップルみたいだね、私たち」
照れ隠しにそんなこと言ってみるとハル君は私の肩に手を回してきた。
「カップルだろ、オレたち」
どき、どき、どき。
頷いて私は自分の心臓の数を数えた。
言葉が何も浮かんでこない。
「ちゃんと言ってなかったけどさ・・・」
ハル君がそっぽむいたまま何か言いかけて黙ってしまう。
「うん、何?」
見上げると肩を引き寄せられた。
「オレ、好きだよ、深久のこと」
「・・・うん」
私も、と言いかけた時、ハル君の唇が重ねられた。
どきどきどき。
どんどん心臓が早くなる・・・。
ぱっと離れてハル君がかすかに笑う。
「・・・私も、好き」
微笑み返してとん、とハル君の肩に自分の頭を乗せる。
なんだかそれ以上目を合わせることができなかった。ヒートアップした心臓が、パンクしちゃいそうで。
満足そうにおなかをさすってハル君が満面の笑顔を見せた。
ハル君って見てて気持ちいいくらい、よく食べる。
ひょろっとしてるくせにそのエネルギーはどこに消えるんだろう?
羨ましいくらい。
こんなとき、ああ男の子だなあって感じてしまう。
お兄ちゃんはどっちかっていうとゆっくりゆっくり食べて食事することを楽しむ人だけど、ハル君は違う。
おなかにあいたスペースを早く埋めたいって感じ。
その豪快さには惚れ惚れしちゃう。今もラーメン替え玉3個を15分くらいでぺろりだもん。
「なあ、まだ時間平気?」
ハル君が私の顔をのぞきこんだ。
腕時計は7時半を指している。
「うん、9時くらいまでなら」
お兄ちゃんにはさっきメールを入れといたし、明日はバイトも休みだからちょっとくらいゆっくりしても大丈夫。
「じゃあ少し散歩しよう。オレあっついや」
中華街を抜け、海の方へ手を繋いで歩き始めた。
ハル君は相変わらず歩くのが早い。
私より少し背が高いから多分足の長さの違いなんだろうけど、それにしても早い。
私は必死になってそれに合わせて、2回もつまずいてしまった。
「ま〜た深久はドジだなあ」
その度にからかわれたけど腹は立たなかった。
こうして手を繋いで一緒にいるだけでとっても幸せな気分だったから。
潮風がふいに鼻先を掠める。
おっきな船が停泊している港に出た。
氷川丸だ。
小さいとき、お兄ちゃんと一緒にここに来たとき、中が見たいって駄々をこねて困らせた記憶がある。
小遣いが足りないから今日はごめんなって言われて、泣き出しそうになって。
その次の月、お小遣いもらったらすぐに連れてきてくれたお兄ちゃん。
急にそのことが思い出されて少し切なくなった。
あの時の私ってほんと何にもわかってなかったなあ・・。
夜もまだ早い時間なのに、山下公園にはカップルがいっぱいいる。
ライトアップしたレインボーブリッジと、この前乗り損ねた大観覧車がライトアップされて遠くに見えるのがロマンティックだからかな。
海沿いのベンチも柵の所も恋人たちが近い距離で腰掛け、語らい合っている。
なんだか照れくさくなって私たちはどんどん歩き、噴水と花壇でできた階段の方へ歩いてきた。
そこにもぽつんぽつんとベンチがあって、やっぱりカップルが座っている。
歩いていくうち、小さな小道のベンチがひとつあいていた。
「座る?」
いつの間にか言葉数が少なくなっていたハル君がぶっきらぼうに聞いてきた。
「うん」
急に心臓が高鳴りだす。
控えめにハル君の隣に腰掛けるとひんやりした木の感触がジーンズ越しにも感じられた。
「なんでそんなに離れるんだよ?」
怒ったような口調でハル君に言われ、私は黙ってそっと寄り添う。
「なんだかカップルみたいだね、私たち」
照れ隠しにそんなこと言ってみるとハル君は私の肩に手を回してきた。
「カップルだろ、オレたち」
どき、どき、どき。
頷いて私は自分の心臓の数を数えた。
言葉が何も浮かんでこない。
「ちゃんと言ってなかったけどさ・・・」
ハル君がそっぽむいたまま何か言いかけて黙ってしまう。
「うん、何?」
見上げると肩を引き寄せられた。
「オレ、好きだよ、深久のこと」
「・・・うん」
私も、と言いかけた時、ハル君の唇が重ねられた。
どきどきどき。
どんどん心臓が早くなる・・・。
ぱっと離れてハル君がかすかに笑う。
「・・・私も、好き」
微笑み返してとん、とハル君の肩に自分の頭を乗せる。
なんだかそれ以上目を合わせることができなかった。ヒートアップした心臓が、パンクしちゃいそうで。
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