依存症(2)
2003年4月30日布団をかぶって寝てしまえばいい。
わかってる。
朝になればきっといつもの笑顔で迎えてくれる。
だけど・・・
玄関の足音に耳を澄ませ、なかなか進まない時計の針に苛立ち、何度も携帯を確認して。
結局眠れなかった。
何度電話しても結果は同じだった。
本田さんに聞いてみようか。
もしかしたら一緒かもしれない。
ふと思い立ったらいても立ってもいられなくなった。
呼び出し音3回くらいで懐かしい声が飛び込んでくる。
(あっれー?めずらしいね、どうしたの?)
直感的にあ、違うと思った。一緒じゃないんだ。
「お兄ちゃんと連絡取れないんですけど・・一緒じゃないですよね?」
それでも淡い期待を込めて聞いてみる。
(や、昨日は一緒に飲んでたけど・・なに、携帯つながんないの?)
優しい、声。
なんだかそれだけで涙が出そうになってしまう。
「はい。あ、でも大丈夫です。もう少し待ってみます。仕事で出れないだけかもしれないし」
(ん・・ねえ、何かあったの?)
「いえ、別に」
昨日からのやりとりなら、テープが擦り切れる位に再生されている。
でもそこに答えが書き込まれているとはどう考えても思えなかった。
軽く説明すると、本田さんはうーんとうなって、まったく早生ちゃんは・・とつぶやいたのが聞こえた。
(家出するようなガキじゃないしな。早生ちゃん、深久ちゃんのこととても大事に思ってるし。それはわかってるよね?)
穏やかに、諭されると少し自信が戻ってきた。
「はい」
(大丈夫。帰ってこないなんてことはないよ。っていうか早生ちゃんにはそんなことはできないから。おれが保証します。だからもう眠りなさい)
「はい・・あの、すみませんでした、夜遅くに」
(ああ気にしないで。いつでも連絡してよ。早生ちゃんはおれが叱っとくからね)
「・・ありがとう。おやすみなさい」
電話を切ると、とたんに静寂が耳に痛いほどの重さで蘇ってきた。
今日は、本田さんを信じてもう眠ろう。
そうだよね?
うちに帰らなくなったお父さんたちをあんなに怒ってたお兄ちゃんが帰って来なくなるはずなんてない。
半分安心して半分は自分に言い聞かせて、私はベッドにもぐり込み、お布団を顔の近くまで引き上げた。
その時、いきなり携帯のチャイムが鳴り響いた。
一瞬びくっとしてから急いで携帯を手に取る。
やっと連絡きたんだ。
ほっとしながら画面を開くと、それはハル君だった。
ハル君からのメール。
ごめん、オレもちょっと言い過ぎたって。
がっかりしてふうっとため息をついてしまってから、私ははっと気がついた。
ケンカしてたのを忘れていたことに。
ハル君とケンカ・・・?なんだかもう、遠い過去のようにすら思える。ついさっき会ってたばかりなのに・・・。
こっちこそごめんね、今度デートやりなおそうねってレスを送り返す。
でもこうして仲直りできても、お兄ちゃんのことをハル君に相談する気は何故か起きない。
ほんとはハル君に対してわだかまりがあるのかも、私。
そんなことを考えていると、ようやく眠りが訪れた。
結局朝帰って来なかったことに気づくまでの間の、ささやかな眠りだった。
わかってる。
朝になればきっといつもの笑顔で迎えてくれる。
だけど・・・
玄関の足音に耳を澄ませ、なかなか進まない時計の針に苛立ち、何度も携帯を確認して。
結局眠れなかった。
何度電話しても結果は同じだった。
本田さんに聞いてみようか。
もしかしたら一緒かもしれない。
ふと思い立ったらいても立ってもいられなくなった。
呼び出し音3回くらいで懐かしい声が飛び込んでくる。
(あっれー?めずらしいね、どうしたの?)
直感的にあ、違うと思った。一緒じゃないんだ。
「お兄ちゃんと連絡取れないんですけど・・一緒じゃないですよね?」
それでも淡い期待を込めて聞いてみる。
(や、昨日は一緒に飲んでたけど・・なに、携帯つながんないの?)
優しい、声。
なんだかそれだけで涙が出そうになってしまう。
「はい。あ、でも大丈夫です。もう少し待ってみます。仕事で出れないだけかもしれないし」
(ん・・ねえ、何かあったの?)
「いえ、別に」
昨日からのやりとりなら、テープが擦り切れる位に再生されている。
でもそこに答えが書き込まれているとはどう考えても思えなかった。
軽く説明すると、本田さんはうーんとうなって、まったく早生ちゃんは・・とつぶやいたのが聞こえた。
(家出するようなガキじゃないしな。早生ちゃん、深久ちゃんのこととても大事に思ってるし。それはわかってるよね?)
穏やかに、諭されると少し自信が戻ってきた。
「はい」
(大丈夫。帰ってこないなんてことはないよ。っていうか早生ちゃんにはそんなことはできないから。おれが保証します。だからもう眠りなさい)
「はい・・あの、すみませんでした、夜遅くに」
(ああ気にしないで。いつでも連絡してよ。早生ちゃんはおれが叱っとくからね)
「・・ありがとう。おやすみなさい」
電話を切ると、とたんに静寂が耳に痛いほどの重さで蘇ってきた。
今日は、本田さんを信じてもう眠ろう。
そうだよね?
うちに帰らなくなったお父さんたちをあんなに怒ってたお兄ちゃんが帰って来なくなるはずなんてない。
半分安心して半分は自分に言い聞かせて、私はベッドにもぐり込み、お布団を顔の近くまで引き上げた。
その時、いきなり携帯のチャイムが鳴り響いた。
一瞬びくっとしてから急いで携帯を手に取る。
やっと連絡きたんだ。
ほっとしながら画面を開くと、それはハル君だった。
ハル君からのメール。
ごめん、オレもちょっと言い過ぎたって。
がっかりしてふうっとため息をついてしまってから、私ははっと気がついた。
ケンカしてたのを忘れていたことに。
ハル君とケンカ・・・?なんだかもう、遠い過去のようにすら思える。ついさっき会ってたばかりなのに・・・。
こっちこそごめんね、今度デートやりなおそうねってレスを送り返す。
でもこうして仲直りできても、お兄ちゃんのことをハル君に相談する気は何故か起きない。
ほんとはハル君に対してわだかまりがあるのかも、私。
そんなことを考えていると、ようやく眠りが訪れた。
結局朝帰って来なかったことに気づくまでの間の、ささやかな眠りだった。
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