「波紋」〜本田さんはハル君を挑発するように言い放った。〜
2003年5月24日(σ・∀・)σ30ゲッツ!
お兄ちゃんを試すようなことを言ってしまった。
私がもし本田さんと付き合うことになったらどうする?って。
案外それいいんじゃない?なんて軽く言われるかもしれないってどきどきしてたのに、想像以上にお兄ちゃん、動揺してた。
でも今朝は、今夜はあの子とデートだって言ってたし。
なんなの?一体お兄ちゃんは誰を好きなの?
やっぱり私じゃないんだ。
でも、だったら昨日の動揺は何?
またわからなくなる・・・。
涙が出そうになって、またわがまま言っちゃった。
早く帰ってきて、か・・・。
なんて子供っぽいわがまま。
やっぱり私はそう簡単には大人になれそうもないよ、本田さん。
ハル君は高校の授業が終わった後、会おうって言ってくれた。
ホントはちょっと会うの、気まずい。
あんな形で傷つけたばかりだったから。
でもハル君にチョコ渡したいし、やっぱり一緒にいたい。
私がバイトを終えて外に出ると、制服姿のハル君がいた。
「あれ?待っててくれたんだ・・」
「おっせえよ。出てく客にじろじろ見られちゃった」
「中で待ってればいいのに」
「今日バイトでもないのに入るのヤじゃん。他の奴らに見られたくないしさ。・・・行こう」
そういうとハル君はすたすた歩き出した。私は慌ててその後を追いかける。
相変わらずハル君の歩幅は広くて、ついていくだけで必死になってしまう。
お兄ちゃんだったら・・・そう思いかけてはっと頭から振り払った。
それがいけないんだった。
「ねえ、大会、どうだったの?」
やっと並べたので、ハル君に聞いてみた。
「2位」
「そっか、残念だったね」
ハル君に大会は見に来るなって言われてた。
多分自信がなかったんだと思う。あの時失敗した高さよりちょっと上でハル君はつまずいていて、今少しスランプ気味みたいだ。
「聞くなよ、無神経だな」
むすっとした声でハル君がつぶやいた。
「え?あ・・・ごめん」
触れてはいけないところだったのかな。
「・・怒った?」
「いや別に」
そういう声はやっぱりなんだかイラついてる。
せっかく会えたのにどうしてなんだろう。
哀しくなってきた。
ハル君の歩幅は変わらない。
隣並んで歩きたいな。
手を繋いで、下らない冗談でも言いながら。
「あれ〜、深久ちゃんじゃん」
いきなりすぐ横で声がして、驚いて立ち止まった。
「本田さん・・」
満面の笑顔でよ、と手を挙げる。反対の腕はショートカットの美人と組まれていた。
いつ見ても本田さんは違う人連れてる。しかも外れなく美人さん。
だけど絶対ふたまたをかけないのが本田さんのポリシーなんだっていつかお兄ちゃんが言ってたっけ。
あいつほど女と切れるのが巧い奴はいないって変な感心の仕方してたのを急に思い出した。
「昨日はありがとうございました」
立ち止まってぺこりと頭を下げると本田さんはいーえ、とまた笑い、隣の女性に早生の妹、と説明した。
「深久ちゃん、あれからどう?考えといてくれた?俺のお兄ちゃん役」
「また冗談ばっかり言って」
「本気なんだけどな。早生ちゃんはどう?何か言ってた?」
「えっと・・今日例のキレイな子とデートだって」
私がそういうと本田さんは苦笑いした。
「私またわがまま言っちゃった」
「何て?」
言いかけたとき、私の肩をハル君がつかんだ。
「この人誰?」
まるで侵入者を警戒する番犬みたいな顔つきで本田さんをにらみつける。
「あ、キミが深久ちゃんのカレシか」
とぼけた声で本田さんはにっこり笑いかけた。
「僕は深久ちゃんのお兄さんの友人で本田といいます。キミのことは色々聞いてるよ。お兄ちゃんにはなれないカレシさん、だよね?」
あくまでもさわやかに、挑発的なことを言ってのける。
「本田さん・・・」
私ははらはらしながらハル君のほうを見た。
幸いよく意味がわからなかったみたいで、ちらりと私の方を疑問系の顔つきで見てからもう一度、咬みつきそうな勢いで本田さんを見た。
「おれたちデートの最中なんで。失礼します。行こう、深久」
そう言って私の手をとり歩き出したハル君を本田さんが呼び止めた。
「ねえキミ、ハル君だっけ?ケンカばっかしてると深久ちゃんさらわれちゃうよ?例えば・・・僕に」
そう言って本田さんは再び極上の笑顔をハル君に向かって投げつけた。
ハル君はそれに構わずどんどん歩いてく。
急いで本田さんに頭を下げるとばいばい、と手を振り返してくれた。
「ねえハル君、ああいう言い方って失礼じゃない?」
「知るかよ、別におれの知り合いじゃねえし。それより深久、何であんなやつにおれの話なんかしてんだよ」
「え・・・だって色々相談事とかあって・・」
「それで何、けんかばっかりしてるんです、別れたいんですとでもいった訳?」
「何それ?言うわけないじゃん。勝手に話作らないでよ」
「だってあの男深久のこと狙ってるぽかったじゃんか」
「本田さんはああいうひとなの!さっきのだって冗談なんだから。第一美人のカノジョさん連れてたでしょ?」
「そんなの友達かもしれないじゃん」
「友達とは腕組みませんー」
私は言い返しながら、ああ違う、私が言いたいのはこんなことじゃないのにって思ってた。
だけどハル君は私の手をふりほどき、もういいよ、と言い放った。
「いいよってどういうこと?」
「おれもう帰る」
「ちょっと・・どうしてそうなっちゃうの?」
「自分で考えれば?」
冷たく言い捨ててハル君は歩き出してしまった。
私は取り残されて、スカートの裾をぎゅっと握り締めたまま、ハル君が去っていくのを見つめていた。
★ライターHP充実!遊びにきてね。
http://members.tripod.co.jp/raita_/index-2.html ★
お兄ちゃんを試すようなことを言ってしまった。
私がもし本田さんと付き合うことになったらどうする?って。
案外それいいんじゃない?なんて軽く言われるかもしれないってどきどきしてたのに、想像以上にお兄ちゃん、動揺してた。
でも今朝は、今夜はあの子とデートだって言ってたし。
なんなの?一体お兄ちゃんは誰を好きなの?
やっぱり私じゃないんだ。
でも、だったら昨日の動揺は何?
またわからなくなる・・・。
涙が出そうになって、またわがまま言っちゃった。
早く帰ってきて、か・・・。
なんて子供っぽいわがまま。
やっぱり私はそう簡単には大人になれそうもないよ、本田さん。
ハル君は高校の授業が終わった後、会おうって言ってくれた。
ホントはちょっと会うの、気まずい。
あんな形で傷つけたばかりだったから。
でもハル君にチョコ渡したいし、やっぱり一緒にいたい。
私がバイトを終えて外に出ると、制服姿のハル君がいた。
「あれ?待っててくれたんだ・・」
「おっせえよ。出てく客にじろじろ見られちゃった」
「中で待ってればいいのに」
「今日バイトでもないのに入るのヤじゃん。他の奴らに見られたくないしさ。・・・行こう」
そういうとハル君はすたすた歩き出した。私は慌ててその後を追いかける。
相変わらずハル君の歩幅は広くて、ついていくだけで必死になってしまう。
お兄ちゃんだったら・・・そう思いかけてはっと頭から振り払った。
それがいけないんだった。
「ねえ、大会、どうだったの?」
やっと並べたので、ハル君に聞いてみた。
「2位」
「そっか、残念だったね」
ハル君に大会は見に来るなって言われてた。
多分自信がなかったんだと思う。あの時失敗した高さよりちょっと上でハル君はつまずいていて、今少しスランプ気味みたいだ。
「聞くなよ、無神経だな」
むすっとした声でハル君がつぶやいた。
「え?あ・・・ごめん」
触れてはいけないところだったのかな。
「・・怒った?」
「いや別に」
そういう声はやっぱりなんだかイラついてる。
せっかく会えたのにどうしてなんだろう。
哀しくなってきた。
ハル君の歩幅は変わらない。
隣並んで歩きたいな。
手を繋いで、下らない冗談でも言いながら。
「あれ〜、深久ちゃんじゃん」
いきなりすぐ横で声がして、驚いて立ち止まった。
「本田さん・・」
満面の笑顔でよ、と手を挙げる。反対の腕はショートカットの美人と組まれていた。
いつ見ても本田さんは違う人連れてる。しかも外れなく美人さん。
だけど絶対ふたまたをかけないのが本田さんのポリシーなんだっていつかお兄ちゃんが言ってたっけ。
あいつほど女と切れるのが巧い奴はいないって変な感心の仕方してたのを急に思い出した。
「昨日はありがとうございました」
立ち止まってぺこりと頭を下げると本田さんはいーえ、とまた笑い、隣の女性に早生の妹、と説明した。
「深久ちゃん、あれからどう?考えといてくれた?俺のお兄ちゃん役」
「また冗談ばっかり言って」
「本気なんだけどな。早生ちゃんはどう?何か言ってた?」
「えっと・・今日例のキレイな子とデートだって」
私がそういうと本田さんは苦笑いした。
「私またわがまま言っちゃった」
「何て?」
言いかけたとき、私の肩をハル君がつかんだ。
「この人誰?」
まるで侵入者を警戒する番犬みたいな顔つきで本田さんをにらみつける。
「あ、キミが深久ちゃんのカレシか」
とぼけた声で本田さんはにっこり笑いかけた。
「僕は深久ちゃんのお兄さんの友人で本田といいます。キミのことは色々聞いてるよ。お兄ちゃんにはなれないカレシさん、だよね?」
あくまでもさわやかに、挑発的なことを言ってのける。
「本田さん・・・」
私ははらはらしながらハル君のほうを見た。
幸いよく意味がわからなかったみたいで、ちらりと私の方を疑問系の顔つきで見てからもう一度、咬みつきそうな勢いで本田さんを見た。
「おれたちデートの最中なんで。失礼します。行こう、深久」
そう言って私の手をとり歩き出したハル君を本田さんが呼び止めた。
「ねえキミ、ハル君だっけ?ケンカばっかしてると深久ちゃんさらわれちゃうよ?例えば・・・僕に」
そう言って本田さんは再び極上の笑顔をハル君に向かって投げつけた。
ハル君はそれに構わずどんどん歩いてく。
急いで本田さんに頭を下げるとばいばい、と手を振り返してくれた。
「ねえハル君、ああいう言い方って失礼じゃない?」
「知るかよ、別におれの知り合いじゃねえし。それより深久、何であんなやつにおれの話なんかしてんだよ」
「え・・・だって色々相談事とかあって・・」
「それで何、けんかばっかりしてるんです、別れたいんですとでもいった訳?」
「何それ?言うわけないじゃん。勝手に話作らないでよ」
「だってあの男深久のこと狙ってるぽかったじゃんか」
「本田さんはああいうひとなの!さっきのだって冗談なんだから。第一美人のカノジョさん連れてたでしょ?」
「そんなの友達かもしれないじゃん」
「友達とは腕組みませんー」
私は言い返しながら、ああ違う、私が言いたいのはこんなことじゃないのにって思ってた。
だけどハル君は私の手をふりほどき、もういいよ、と言い放った。
「いいよってどういうこと?」
「おれもう帰る」
「ちょっと・・どうしてそうなっちゃうの?」
「自分で考えれば?」
冷たく言い捨ててハル君は歩き出してしまった。
私は取り残されて、スカートの裾をぎゅっと握り締めたまま、ハル君が去っていくのを見つめていた。
★ライターHP充実!遊びにきてね。
http://members.tripod.co.jp/raita_/index-2.html ★
コメント