「代わりなんかじゃない」〜私は、お兄ちゃんが欲しいんだ〜
2003年5月25日(σ・∀・)σ37ゲッツ!
ハル君を追うことが、できなかった。
追いたくなかった。
電車のドアの所の窓から高速で流れていく景色をぼんやりと眺めながら私は考えていた。
ハル君に渡すはずだったバッグの中のチョコがやけに重たい。
ガラスに映った自分の表情は見たくない。
多分きっと・・ひどい顔してる。
なんかもう、どうでもよかった。
ハル君が怒った理由も、謝る方法も考えたくない。
今はただ、優しい言葉が欲しかった。
・・お兄ちゃん・・・。
今会ったら、泣いちゃうかもしれない。
お兄ちゃんはきっと優しい言葉をくれる。
私のことを甘やかして、大丈夫だよって頭をぽんぽんってしてくれるだろう。
だけど今は、それも痛い。
お兄ちゃんは今夜は違う人と一緒にいる。
今日一日考えないようにしてたけどその事実は心のすみっこでずっとくすぶってた。
あの手が、あの声が、他の人のために存在する。
この前みたいにあの子にキスする。私を見るのとは違う目をして愛してるよって囁くの・・・?
私の知らないお兄ちゃんは、まだあの中にいる。たくさん、いる。
そして一生それを、私が知ることはできない・・・。
ダメだ。
気付いちゃった。
どうして私がハル君とお兄ちゃんをいつも比べちゃうのか。
どうしてお兄ちゃんにとっての一番でありたいのか。
どうしてハル君を、受け入れられないのか。
お兄ちゃんのことが、好きなんだ。
なんで目を逸らしてたんだろう?
大切だって言われるだけじゃ満足できないわがままな自分をもっと早く認めなかったんだろう?
お兄ちゃんの代わりが欲しいんじゃない。
私は、お兄ちゃんが欲しいんだ・・・。
マンションの鍵を開けて入ると、部屋はやっぱり真っ暗だった。
涙をぐっとこらえて電気をつけた。
音楽をつけてお風呂掃除して、バスタブにお湯を張って。
それから私はハル君にあげるはずだったチョコレートを取り出して、湯せんにかけたおなべの中に放り込んだ。
ハート型をした生チョコは、あっという間に溶けてしまう。
私の気持ちと同じように。
そこにミルクを注ぎ込んでホットチョコレートを作って、全部飲み干した。
明日ハル君に、お別れを言おう。
お兄ちゃんは今日帰ってこないかもしれないな。
胸の辺りをぎゅっと押さえ、私はその考えを頭から振り払った。
あの人とのことは、想像、しない。
帰って来ることを信じて待つ。
もう一人にはしないって言ったもんね。
あの時約束して以来、お兄ちゃんは一回も破ったことがない。
例え他に一番がいたとしても、今は・・ちゃんと最後にはこの家に帰ってきてくれる、それだけでも満足しよう。
だけど今朝のわがままだけは、聞いてくれないかな・・
ちょっとだけでいいから、バレンタインの日のお兄ちゃんを分けてほしい。
あの人じゃなくて私だけを見ろなんて言わないから。
もうすぐ12時になる。
やっぱり無理に決まってる。
なんてばかなお願いしたんだろう、私。
あんなわがまま言わなければ帰ってこないのも仕方ないって受け入れられてたかもしれないのに。
お兄ちゃんのチョコレートも・・・溶かしちゃおうか。
そう思ったとき、凄い勢いで誰かが走ってくる音が玄関の方から聞こえてきてどきりとした。
もしかして・・
はやる心を抑え、急いで玄関に駆け寄ったけど、ドアが開くほうが早かった。
「ただいま・・・タイムリミットには間に合った?」
「お兄ちゃん・・・」
息を切らして、真冬なのに汗すらかいて。
・・どうして優しくするの?
なんでこんな不条理なわがまま聞き入れてくれるの?
だけど、嬉しい・・・涙が止められないほど、嬉しい。
「何だか甘いにおいがするな。もしかして今作ってた?」
私はうつむいたまま、ふるふると首を振った。
「・・あれ、お前もしかして、泣いてんの?」
私は何も言わずに、お兄ちゃんに駆け寄って思いっきり抱きついてしまった。
すき。
誰よりも、いちばん、いちばんすき。
口には出せないけど、この気持ちが伝わればいいと思った。
お兄ちゃんといられることが、私の幸せだって。
★ふうう、やっとここまで辿りつきました。ライターです。トップページに小説を最初から読めるコンテンツありマス。
最初の方と時期変わってるじゃん!とかのツッコミは、なしの方向で。(苦笑)
それからメイン日記の方もかーなーりーの心血注いで書いてますんで読んでやって下さいなv
ジャンプはコチラ↓
http://members.tripod.co.jp/raita_/index-2.html ★
ハル君を追うことが、できなかった。
追いたくなかった。
電車のドアの所の窓から高速で流れていく景色をぼんやりと眺めながら私は考えていた。
ハル君に渡すはずだったバッグの中のチョコがやけに重たい。
ガラスに映った自分の表情は見たくない。
多分きっと・・ひどい顔してる。
なんかもう、どうでもよかった。
ハル君が怒った理由も、謝る方法も考えたくない。
今はただ、優しい言葉が欲しかった。
・・お兄ちゃん・・・。
今会ったら、泣いちゃうかもしれない。
お兄ちゃんはきっと優しい言葉をくれる。
私のことを甘やかして、大丈夫だよって頭をぽんぽんってしてくれるだろう。
だけど今は、それも痛い。
お兄ちゃんは今夜は違う人と一緒にいる。
今日一日考えないようにしてたけどその事実は心のすみっこでずっとくすぶってた。
あの手が、あの声が、他の人のために存在する。
この前みたいにあの子にキスする。私を見るのとは違う目をして愛してるよって囁くの・・・?
私の知らないお兄ちゃんは、まだあの中にいる。たくさん、いる。
そして一生それを、私が知ることはできない・・・。
ダメだ。
気付いちゃった。
どうして私がハル君とお兄ちゃんをいつも比べちゃうのか。
どうしてお兄ちゃんにとっての一番でありたいのか。
どうしてハル君を、受け入れられないのか。
お兄ちゃんのことが、好きなんだ。
なんで目を逸らしてたんだろう?
大切だって言われるだけじゃ満足できないわがままな自分をもっと早く認めなかったんだろう?
お兄ちゃんの代わりが欲しいんじゃない。
私は、お兄ちゃんが欲しいんだ・・・。
マンションの鍵を開けて入ると、部屋はやっぱり真っ暗だった。
涙をぐっとこらえて電気をつけた。
音楽をつけてお風呂掃除して、バスタブにお湯を張って。
それから私はハル君にあげるはずだったチョコレートを取り出して、湯せんにかけたおなべの中に放り込んだ。
ハート型をした生チョコは、あっという間に溶けてしまう。
私の気持ちと同じように。
そこにミルクを注ぎ込んでホットチョコレートを作って、全部飲み干した。
明日ハル君に、お別れを言おう。
お兄ちゃんは今日帰ってこないかもしれないな。
胸の辺りをぎゅっと押さえ、私はその考えを頭から振り払った。
あの人とのことは、想像、しない。
帰って来ることを信じて待つ。
もう一人にはしないって言ったもんね。
あの時約束して以来、お兄ちゃんは一回も破ったことがない。
例え他に一番がいたとしても、今は・・ちゃんと最後にはこの家に帰ってきてくれる、それだけでも満足しよう。
だけど今朝のわがままだけは、聞いてくれないかな・・
ちょっとだけでいいから、バレンタインの日のお兄ちゃんを分けてほしい。
あの人じゃなくて私だけを見ろなんて言わないから。
もうすぐ12時になる。
やっぱり無理に決まってる。
なんてばかなお願いしたんだろう、私。
あんなわがまま言わなければ帰ってこないのも仕方ないって受け入れられてたかもしれないのに。
お兄ちゃんのチョコレートも・・・溶かしちゃおうか。
そう思ったとき、凄い勢いで誰かが走ってくる音が玄関の方から聞こえてきてどきりとした。
もしかして・・
はやる心を抑え、急いで玄関に駆け寄ったけど、ドアが開くほうが早かった。
「ただいま・・・タイムリミットには間に合った?」
「お兄ちゃん・・・」
息を切らして、真冬なのに汗すらかいて。
・・どうして優しくするの?
なんでこんな不条理なわがまま聞き入れてくれるの?
だけど、嬉しい・・・涙が止められないほど、嬉しい。
「何だか甘いにおいがするな。もしかして今作ってた?」
私はうつむいたまま、ふるふると首を振った。
「・・あれ、お前もしかして、泣いてんの?」
私は何も言わずに、お兄ちゃんに駆け寄って思いっきり抱きついてしまった。
すき。
誰よりも、いちばん、いちばんすき。
口には出せないけど、この気持ちが伝わればいいと思った。
お兄ちゃんといられることが、私の幸せだって。
★ふうう、やっとここまで辿りつきました。ライターです。トップページに小説を最初から読めるコンテンツありマス。
最初の方と時期変わってるじゃん!とかのツッコミは、なしの方向で。(苦笑)
それからメイン日記の方もかーなーりーの心血注いで書いてますんで読んでやって下さいなv
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