「接続」〜どうして私の心が動かないなんて思うの?〜
2003年5月30日(σ・∀・)σ30ゲッツ!
(・・・久?・・深久)
頭の奥が霞んでいてよく聞こえない。でも、お兄ちゃんの声がする・・
はっと目を覚ますと握り締めてる携帯が通話中になっている。
どうやら寝惚けながらもかかってきた電話に出てたみたい。
私は慌てて携帯を耳にあてた。
「もしもし・・・」
暗がりなので壁の時計は見えないけど、肌感覚でまだ真夜中だろうと思った。1時か2時。
(深久・・・ごめん、起こしたかな)
思わず携帯を取り落としそうになって初めて自分の手が震えていることに気付いた。
力を込めて握り直すことで、自分はまだ夢の中にいるのかもしれないという疑いを晴らす。
携帯の感触は過ぎるほどリアルだ。
「・・・お兄ちゃん・・・?」
やっとのことで問いかける。
受話器の向こうは一瞬沈黙した。
(・・・心配したよ。返事がないから)
「あ・・」
メールだ。きっと眠ってしまった後、お兄ちゃんがいつものように送ってきたんだろう。
「寝てたわ」
(やっぱり。ごめんな)
「ううん、いいの」
静まり返った闇の中でこうしてお兄ちゃんと話しているのが不思議な感じがする。
声を聞くのは何日ぶりだろう?
私は体勢を立て直した。ベッドがぎしりと音を立てる。
毛布を身体に巻きつけるようにしてくるまって寒さから身を守る。
(ちゃんと飯食ってる?)
「うん。お兄ちゃんは病気してない?」
(大丈夫だよ。大丈夫。それより・・・お前が心配だよ)
心配するくらいならすぐに帰ってきて、と喉元まで出かけたコトバを飲み込んだ。
「私は病気も怪我もしてないよ」
(そういうことじゃない)
「ああ・・ひとりでも?平気じゃないよ」
するりと本音が出てしまった後は、強がってた気持ちを乗り越えて感情が一気に頭のてっぺんまで登りつめてしまう。
「こんなに苦しい夜はもうごめんだわ」
(深久・・・)
涙が出ちゃいそうだ。
でもそれじゃお兄ちゃんを困らせてしまうだろう。
唇をかみ、大きく息を吸って心を落ち着かせようとした。
手の震えは止まったけど、心の震えは続いている。
「今日本田さんが来た」
(ああ、俺も会った)
「そう」
やっぱり。私は目を閉じて本田さんを思い浮かべた。ありがとう、と心の中でつぶやいて、すぐに気持ちを切り替えた。
(本田が言ってたよ。お前は不安で戸惑ってるんだって。俺に説明してもらいたいんだって)
ああ・・言わなくてもわかってくれる本田さんがありがたかった。
(俺は・・お前の事を妹としては見られないんだ。だからもう一緒にはいられない)
「なんで・・・?」
(え・・)
「なんで私の心が動かないなんて思うの?」
はっと息を呑む気配が伝わってくる。
私は耳にあてている携帯を両手で握り締めた。
「ちゃんと話、しようよ。明日どこかで会えない?」
(・・・わかった。8時過ぎてもいいかな。横浜の駅で。終わったら電話する)
「ん。ご飯食べる?」
(ああ、そうだな)
「中華街!」
思わずはしゃいだ声を出してしまって、私は慌てて口をつぐんだ。
お兄ちゃんが回線の向こうで、微笑んだ気がした。
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(・・・久?・・深久)
頭の奥が霞んでいてよく聞こえない。でも、お兄ちゃんの声がする・・
はっと目を覚ますと握り締めてる携帯が通話中になっている。
どうやら寝惚けながらもかかってきた電話に出てたみたい。
私は慌てて携帯を耳にあてた。
「もしもし・・・」
暗がりなので壁の時計は見えないけど、肌感覚でまだ真夜中だろうと思った。1時か2時。
(深久・・・ごめん、起こしたかな)
思わず携帯を取り落としそうになって初めて自分の手が震えていることに気付いた。
力を込めて握り直すことで、自分はまだ夢の中にいるのかもしれないという疑いを晴らす。
携帯の感触は過ぎるほどリアルだ。
「・・・お兄ちゃん・・・?」
やっとのことで問いかける。
受話器の向こうは一瞬沈黙した。
(・・・心配したよ。返事がないから)
「あ・・」
メールだ。きっと眠ってしまった後、お兄ちゃんがいつものように送ってきたんだろう。
「寝てたわ」
(やっぱり。ごめんな)
「ううん、いいの」
静まり返った闇の中でこうしてお兄ちゃんと話しているのが不思議な感じがする。
声を聞くのは何日ぶりだろう?
私は体勢を立て直した。ベッドがぎしりと音を立てる。
毛布を身体に巻きつけるようにしてくるまって寒さから身を守る。
(ちゃんと飯食ってる?)
「うん。お兄ちゃんは病気してない?」
(大丈夫だよ。大丈夫。それより・・・お前が心配だよ)
心配するくらいならすぐに帰ってきて、と喉元まで出かけたコトバを飲み込んだ。
「私は病気も怪我もしてないよ」
(そういうことじゃない)
「ああ・・ひとりでも?平気じゃないよ」
するりと本音が出てしまった後は、強がってた気持ちを乗り越えて感情が一気に頭のてっぺんまで登りつめてしまう。
「こんなに苦しい夜はもうごめんだわ」
(深久・・・)
涙が出ちゃいそうだ。
でもそれじゃお兄ちゃんを困らせてしまうだろう。
唇をかみ、大きく息を吸って心を落ち着かせようとした。
手の震えは止まったけど、心の震えは続いている。
「今日本田さんが来た」
(ああ、俺も会った)
「そう」
やっぱり。私は目を閉じて本田さんを思い浮かべた。ありがとう、と心の中でつぶやいて、すぐに気持ちを切り替えた。
(本田が言ってたよ。お前は不安で戸惑ってるんだって。俺に説明してもらいたいんだって)
ああ・・言わなくてもわかってくれる本田さんがありがたかった。
(俺は・・お前の事を妹としては見られないんだ。だからもう一緒にはいられない)
「なんで・・・?」
(え・・)
「なんで私の心が動かないなんて思うの?」
はっと息を呑む気配が伝わってくる。
私は耳にあてている携帯を両手で握り締めた。
「ちゃんと話、しようよ。明日どこかで会えない?」
(・・・わかった。8時過ぎてもいいかな。横浜の駅で。終わったら電話する)
「ん。ご飯食べる?」
(ああ、そうだな)
「中華街!」
思わずはしゃいだ声を出してしまって、私は慌てて口をつぐんだ。
お兄ちゃんが回線の向こうで、微笑んだ気がした。
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