「甘やかな痺れ」〜触れ合う唇の、確かな温かさ〜
2003年6月4日(σ・∀・)σ134ゲッツ!
真剣な、瞳。
吸い込まれそうになる・・・。
「・・お前の気持ちをきかせて」
「わかってるから・・キスしたんでしょ?」
私がそういうと、焦れたようにお兄ちゃんが囁きかける。
「そういう言い方はずるいよ」
「・・・好きよ。大好き・・!」
いきなりふわりと身体が宙に浮かんだ。
「な・・お兄ちゃ・・・」
抱き上げられていた。そのままきつく、抱きしめられる。
私もそっと腕をお兄ちゃんの頭の後ろに回した。
しばらくの間そうした後、とん、と軽やかに私を降ろすと、お兄ちゃんはもういつものお兄ちゃんだった。
「わかってるわけないだろ?いつも罪悪感でいっぱいだったよ」
「嘘ばっかり・・」
「ホントだって。だから今度は心からのキスをさせて?」
愛しそうな表情で細めたお兄ちゃんの目はまだどこか臆病な光をたたえている。
頷いた私の髪に左の指を差し入れて後頭部を支え、お兄ちゃんは首を傾けて口づけてくる。
優しく下唇をかまれるたび、甘やかな痺れに支配されるのはどうしてだろう・・・?
メルトダウンしていく思考の狭間で私はそんなことを考えていた。
全身は夜風で冷やされていたけれど、回されたお兄ちゃんの腕と、触れ合ってる唇だけは確かな温かさを生み出している。
崩れてしまいそうになる腰をお兄ちゃんは空いている方の手で支え、きゅっと抱き寄せる。
またひとつ温かさが加えられ、そして熱へと置き換わっていく・・・。
長い長い口づけのあと、ようやく離れたお兄ちゃんは耳元で囁いた。
「・・もう誰にも触れさせない。ずっと・・・ずっとだ・・・」
私は何度も頷いて、抱きしめられる心地よさにいつまでも身をゆだねていた・・・。
手を繋いだまま車まで戻ってきた。
そういえばこんな風にお兄ちゃんと手を繋いだのは子供のとき以来だ。
でもあの頃とはその意味が違う。
照れくさいような恥ずかしいような甘酸っぱい気持ち。
手を繋ぐだけでもこんなにも幸せなんて。
お兄ちゃんが車を発進させてから、私はおずおずと聞いてみた。
ずっと聞きたくても聞けなかったことを。
「お兄ちゃん、ずっとどこにいたの?」
「駅前のウィークリーマンション」
「ってあの一週間単位で貸してくれるトコ?」
「ああ」
「そうだったんだ・・・」
胸につかえていた大きな謎が解けて思わず顔がほころんでしまう。
お兄ちゃんに悟られないように慌てて引き締めながらわざとふてくされたような口調でそんな近くにいたんだ、とつぶやいた。
「もう・・・帰ってくるんだよね?」
当然返事はYESだと思ったのに、お兄ちゃんは首を横に振った。
「どうしてよ?」
驚いて私が聞き返すとお兄ちゃんはウインカーを出して右折してからちらりと私を見て、言った。
「男の本能、なめてらっしゃいます?」
「え?」
あ・・・・。
その意味を把握した一瞬のちに一気に顔がほてるのがわかり、私は両手で頬をはさむように押さえた。
「それは・・・ちょっと待って・・・あの、まだ覚悟がいまいち・・」
「わかってるって」
けらけら笑いながらお兄ちゃんが言った。
「別に急ぐつもりはないよ。たくさんデートしよう。話をしよう。それからでも遅くない」
「うん。お兄ちゃんのそういうとこ、大好き」
「お前・・・遠回しに直球の牽制球投げんの得意だな」
「何、それ?」
お兄ちゃんはため息をついてからまあいいよ、と笑った。
「それより俺も聞きたいことがある。・・お前、ハルのことは・・」
そこまで言って、お兄ちゃんは言いよどんでしまった。
私はその言葉をすくい上げるようにあのね、と切り出した。
「もう別れちゃった。自分の気持ちに気付いたときに」
お兄ちゃんは一瞬だけこっちを見て、また前を向いた。
右手をハンドルに残したまま左手で私の手をとってぎゅっと握った。
「今・・ものすごく抱きしめたいんですけど」
そんなお兄ちゃんを本当にかわいいと思う。
私はふふ、と笑ってお兄ちゃんの方を向いた。
「私、お兄ちゃんが好きよ。多分お兄ちゃんが考えてる以上にね」
そう言ってからちょっとだけ立ち上がってお兄ちゃんの左の頬にキスをした。
「着いたぜ」
マンションの前に車を止めるとお兄ちゃんは言った。
このまま帰っちゃうのかな・・・。それも何だか寂しい。
さっきはあんなこと言っちゃったけど、ほんとはそうなってもいいと、思ってる。
お兄ちゃんとなら・・・・。
「ちゃんとお部屋まで送って」
わざと怒ったように言ってみた。だって照れくさくて、素直になんて言えない・・・。
「はいはい、お姫様」
お兄ちゃんは手際よく駐車場に車を入れると二人一緒にエレベーターに乗り込んだ。
お兄ちゃんがそっと肩を抱き寄せてくる。
どきどきしていた。
踊りだす心臓を押さえながら、寄り添う。
見上げると、優しい目で見つめ返された。
鍵を開け中に入ったとたん、抱きすくめられた。
きゅうっと痛みに似た切なさがみぞおちの辺りから駆け登る。
リンゴの甘い香りが・・・漂ってくる。
「お帰りなさい、お兄ちゃん・・・」
言いながら、涙があふれてきた。
もうひとりじゃないんだ。目をぎゅっと瞑っても、まぶたの裏が熱く、抑え切れない。
「ただいま、深久」
髪に顔をうずめたまま、お兄ちゃんが答えた。
たった数日離れていただけなのに、なんて長い日々だっただろう。
こんなにも自分以外の人のことを考えて過ごしたことなんてない。
これから、どうなっていくんだろう・・・?
それは胸躍る予想と暗い影の同居した不可思議な想いだった。
でも、お兄ちゃんとなら大丈夫。
全てを、乗り越えられるような気がする。
そう思った瞬間、意識がふうっと途切れた。
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真剣な、瞳。
吸い込まれそうになる・・・。
「・・お前の気持ちをきかせて」
「わかってるから・・キスしたんでしょ?」
私がそういうと、焦れたようにお兄ちゃんが囁きかける。
「そういう言い方はずるいよ」
「・・・好きよ。大好き・・!」
いきなりふわりと身体が宙に浮かんだ。
「な・・お兄ちゃ・・・」
抱き上げられていた。そのままきつく、抱きしめられる。
私もそっと腕をお兄ちゃんの頭の後ろに回した。
しばらくの間そうした後、とん、と軽やかに私を降ろすと、お兄ちゃんはもういつものお兄ちゃんだった。
「わかってるわけないだろ?いつも罪悪感でいっぱいだったよ」
「嘘ばっかり・・」
「ホントだって。だから今度は心からのキスをさせて?」
愛しそうな表情で細めたお兄ちゃんの目はまだどこか臆病な光をたたえている。
頷いた私の髪に左の指を差し入れて後頭部を支え、お兄ちゃんは首を傾けて口づけてくる。
優しく下唇をかまれるたび、甘やかな痺れに支配されるのはどうしてだろう・・・?
メルトダウンしていく思考の狭間で私はそんなことを考えていた。
全身は夜風で冷やされていたけれど、回されたお兄ちゃんの腕と、触れ合ってる唇だけは確かな温かさを生み出している。
崩れてしまいそうになる腰をお兄ちゃんは空いている方の手で支え、きゅっと抱き寄せる。
またひとつ温かさが加えられ、そして熱へと置き換わっていく・・・。
長い長い口づけのあと、ようやく離れたお兄ちゃんは耳元で囁いた。
「・・もう誰にも触れさせない。ずっと・・・ずっとだ・・・」
私は何度も頷いて、抱きしめられる心地よさにいつまでも身をゆだねていた・・・。
手を繋いだまま車まで戻ってきた。
そういえばこんな風にお兄ちゃんと手を繋いだのは子供のとき以来だ。
でもあの頃とはその意味が違う。
照れくさいような恥ずかしいような甘酸っぱい気持ち。
手を繋ぐだけでもこんなにも幸せなんて。
お兄ちゃんが車を発進させてから、私はおずおずと聞いてみた。
ずっと聞きたくても聞けなかったことを。
「お兄ちゃん、ずっとどこにいたの?」
「駅前のウィークリーマンション」
「ってあの一週間単位で貸してくれるトコ?」
「ああ」
「そうだったんだ・・・」
胸につかえていた大きな謎が解けて思わず顔がほころんでしまう。
お兄ちゃんに悟られないように慌てて引き締めながらわざとふてくされたような口調でそんな近くにいたんだ、とつぶやいた。
「もう・・・帰ってくるんだよね?」
当然返事はYESだと思ったのに、お兄ちゃんは首を横に振った。
「どうしてよ?」
驚いて私が聞き返すとお兄ちゃんはウインカーを出して右折してからちらりと私を見て、言った。
「男の本能、なめてらっしゃいます?」
「え?」
あ・・・・。
その意味を把握した一瞬のちに一気に顔がほてるのがわかり、私は両手で頬をはさむように押さえた。
「それは・・・ちょっと待って・・・あの、まだ覚悟がいまいち・・」
「わかってるって」
けらけら笑いながらお兄ちゃんが言った。
「別に急ぐつもりはないよ。たくさんデートしよう。話をしよう。それからでも遅くない」
「うん。お兄ちゃんのそういうとこ、大好き」
「お前・・・遠回しに直球の牽制球投げんの得意だな」
「何、それ?」
お兄ちゃんはため息をついてからまあいいよ、と笑った。
「それより俺も聞きたいことがある。・・お前、ハルのことは・・」
そこまで言って、お兄ちゃんは言いよどんでしまった。
私はその言葉をすくい上げるようにあのね、と切り出した。
「もう別れちゃった。自分の気持ちに気付いたときに」
お兄ちゃんは一瞬だけこっちを見て、また前を向いた。
右手をハンドルに残したまま左手で私の手をとってぎゅっと握った。
「今・・ものすごく抱きしめたいんですけど」
そんなお兄ちゃんを本当にかわいいと思う。
私はふふ、と笑ってお兄ちゃんの方を向いた。
「私、お兄ちゃんが好きよ。多分お兄ちゃんが考えてる以上にね」
そう言ってからちょっとだけ立ち上がってお兄ちゃんの左の頬にキスをした。
「着いたぜ」
マンションの前に車を止めるとお兄ちゃんは言った。
このまま帰っちゃうのかな・・・。それも何だか寂しい。
さっきはあんなこと言っちゃったけど、ほんとはそうなってもいいと、思ってる。
お兄ちゃんとなら・・・・。
「ちゃんとお部屋まで送って」
わざと怒ったように言ってみた。だって照れくさくて、素直になんて言えない・・・。
「はいはい、お姫様」
お兄ちゃんは手際よく駐車場に車を入れると二人一緒にエレベーターに乗り込んだ。
お兄ちゃんがそっと肩を抱き寄せてくる。
どきどきしていた。
踊りだす心臓を押さえながら、寄り添う。
見上げると、優しい目で見つめ返された。
鍵を開け中に入ったとたん、抱きすくめられた。
きゅうっと痛みに似た切なさがみぞおちの辺りから駆け登る。
リンゴの甘い香りが・・・漂ってくる。
「お帰りなさい、お兄ちゃん・・・」
言いながら、涙があふれてきた。
もうひとりじゃないんだ。目をぎゅっと瞑っても、まぶたの裏が熱く、抑え切れない。
「ただいま、深久」
髪に顔をうずめたまま、お兄ちゃんが答えた。
たった数日離れていただけなのに、なんて長い日々だっただろう。
こんなにも自分以外の人のことを考えて過ごしたことなんてない。
これから、どうなっていくんだろう・・・?
それは胸躍る予想と暗い影の同居した不可思議な想いだった。
でも、お兄ちゃんとなら大丈夫。
全てを、乗り越えられるような気がする。
そう思った瞬間、意識がふうっと途切れた。
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