(σ・∀・)σ154ゲッツ! ご愛顧さんきゅ★

カナコが2次で落ちたという話を聞いた時、どきりと胸が痛んだ。
模試の全てでA判定を出しておきながら落ちたと言うのは尋常ではない。
当予備校きっての才媛と謳われていた沢木カナコが不合格を出すなんて誰も想像だにしなかった。
教員室ではその話題でもちきりで、様々な憶測が飛び交っていた。
俺と仲がよかったことを知っている教師などは露骨に何かあったのかと尋ねてきたが、俺は苦笑するしかできなかった。
いたたまれなくて早々に退散することにする。
駐車場で車にもたれかかっている人物を認めたとき、俺はまた苦い笑いが口元に上るのを自分で感じていた。
「こんな所で待ち伏せしてると危ないって言ったろ?」
「ねえまさか俺のせいかも、なんて思ってないよね?」
淡々と、一ミリも動かずにカナコが言った。
「思わないでもないね」
「ひどい風邪をひいただけよ。39℃の熱と頭痛で受けたんだから。せんせいのせいなんかじゃないから。絶対に」
早口にそれだけ言い放つとカナコは素早く歩き去ろうとした。
「それは俺を安心させるために言ってくれてるのかな。それとも自分のプライドを満たすため?」
カナコはきっと振り返ってにらみつけた。
「つくづく嫌な男ね」
荒々しい口調で叩きつけるように言うとカナコは戻ってきて俺を見上げた。
その瞳は怒りのせいで強く見開かれている。
こんな時なのにキレイだな、と俺は思った。
怒った顔に壮絶な色気を感じたのは初めてだった。
「私が他人に人生を左右される訳ないわ。言ったでしょ?欲しい物は必ず手に入れるって。何があっても手に入れるって。手に入らないときは自分の意思なの。せんせいのことだっていらないって思ったから深久さんに譲ったのよ。大学だってもういいって思ったから」
「そうやって自分をなぐさめるのか」
静かに俺はカナコの言葉を遮った。
「自分の気持ちまで思い通りにコントロールしてるつもり?見てて痛いよ」
目を瞠ったまま凍ったように動かないカナコに畳み掛けるように、けれどできるかぎり穏やかに聞こえるよう努力して俺は言葉を選んだ。
「予防線を張って後から自分の気持ちを捻じ曲げてまで貫かなきゃいけないのか、その手に入れたいって気持ちは。手に入らなかったら泣けばいい。自分の力不足を嘆けばいい。今の沢木さんは逃げてるだけだ」
そんなんじゃ次に繋がらないと思う。
カナコにはありのままを認めてほしい。
認めてこそ成長はあると思うし、自分に言い訳を続けている限り新しいものは生まれてこない。
俺は哀しくなった。
聡明で全てわかっていると思っていたカナコが本当は普通の18歳だということにやっと気付いた。
「せんせいがそれを言うの・・・?」
みるみるうちに瞳に涙がたまる。
「どうして私じゃいけないの?なんであの人じゃなきゃだめなの?こんなに・・こんなに好きなのに」
それは初めて叩きつけられた素直なカナコの感情だった。
涙と一緒に次々とあふれ出すそれを、俺はじっと聞いていた。
そう、全部洗い流してほしい。
カナコにはまっすぐなままでいてほしい・・・。

ひとしきり泣いた後ため息をついて涙を拭い、カナコはコートのポケットに手を突っ込んだ。
「悔しいわ。平気な顔して断ち切ろうと思ってたのにこんなカッコ悪い姿さらけ出して」
「その方がいい。そういう沢木さんの方が俺は好きだな」
「・・・先生はその性格の悪さ直した方がいいよ。さよなら」
今度こそきっぱりと背を向け、カナコは立ち去った。

自分は講師としても人間としても失格だなと思う。
受かるための技術はいくらでも与えられるけれど、自分を満たすために人を傷つけるのを我慢できないなんて、きっとどこかに欠陥があるに違いない。
カナコのそれよりも深いため息をつき、ひんやりとした車シートに腰を沈めた。
ハンドルにもたれ目をつぶるとカナコの涙が浮かんでくる。
身勝手な同情が湧き上がる自分は傲慢だと思う。
彼女が泣けてよかったなどと思う自分も。
頭を激しく振り、俺はキーを差し込んだ。

「お帰りなさい!」
いつもどおり玄関先に飛び出してきて全開で笑う深久を見たら居ても立ってもいられず抱き寄せた。
「どうしたの・・・?」
いつもと違う様子を読み取ったのか、訝しげに腕の中から見上げてくる深久の唇に自分のそれを重ねる。
懸命に応じる深久のことを愛しいと思う。
滅茶苦茶なエゴだけど、この子だけは傷つけたくないと思う。
他の何と引き換えにしても。
「愛してるよ、深久」
唇を耳元にずらし囁くと、くすぐったいよと笑いながら深久が肩をすくめた。
「こんなトコが弱いの?お前」
わざとまた耳の傍で低く問いかけると身をよじって逃れようとするのが可愛くて、益々腕に力を込めて抱いてしまう。
「もう・・・こんな所にいたら寒いよ・・早くお部屋に行こ」
「何?部屋に行って何するの?キスの続き?」
「何言ってるの・・・ばか」
深久が照れて俺の胸を押しのけようとする。
その手を掴んで止め、俺は深久を抱え上げた。
「え・・や・・降ろしてよ?」
「いいからちょっと黙りなさい」
優しく耳元で囁くと、深久はくすぐったそうに笑いながら口を閉じた。

居間のソファにそっと座らせ、その前に俺は跪き、深久の頬のすぐ脇に手をついた。
そして軽いキスを繰り返し何度も落とした。
額に、まぶたに、鼻に、頬に、唇に。
耳のそばへキスするとき、愛してるよ、とため息まじりに囁くと、初めて深久は甘い声をあげた。
加速していく熱情はもう止められないところまで来ていた。
繋がりたいという激しい思いに支配されていく。
首筋に唇を這わせると、それに合わせるように深久が軽くのけぞった。
すかさず喉元にキスマークをつける。
刻印のように赤いそれは俺の衝動を煽り立てる。
シャツの第一ボタンから外していきながら開いていく部分を追いかけるようにして唇をつけていく。
薄桃色のブラの上の盛り上がった胸の隆起に達したところで深久がちょっと待ってと制した。
「待てないよ、もう」
ボタンを外す手を緩めず俺が返すと深久が首を振った。
「電気・・消して」
「いいじゃん。全部見せて?」
「お願い・・・」
消え入りそうな声で頼んでくる。
俺が素早く照明を落とすとガラス戸の向こう、玄関の明かりだけが部屋に差し込んで、深久の姿を淡く浮かび上がらせる。
「消えてないよ?」
「いいんだよ」
「意地悪・・・」
にらみつける深久に微笑み返して俺は強引に唇を重ねた。
左手をその背中に差し込み、下着のホックをずらして外しながら。

★いやあどもども。ライターです。すんません、こんなとこまできちゃいました。つう訳で続きは明日。おいらの日記も読んでくれい!
http://members.tripod.co.jp/raita_/index-2.html
スターライト☆エクスプレスにて。

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