「譲れないこと」〜認められたいから恋愛するんじゃない〜
2003年6月12日(σ・∀・)σ52ゲッツ!
「駄目だ。・・・お前がそう言い出すような気がしてたよ。駄目だ」
「どうしても?だって私、嘘つけない、多分・・」
「どうしても。母さんにこれ以上心配させたいのか?」
「それは・・やだけど・・・。でもきっとお母さんならわかってくれるよ?私お母さんにだけはわかってもらいたい」
「あのさ・・深久。いくらあんなモラルの欠片もないような母親だろうとさ、自分が産んだ子供二人が愛し合ってますなんて受け入れられると思うか?」
「そんなのはちゃんと話せばわかってもらえるよ」
俺は深久の頑固さにため息をついた。
わかってもらえるはずなどない。
深久には想像できないのだろうか?
俺は何度もサキとぶつかり合ってきた。
血の繋がっている深久を愛しているという感情を何度も否定されてきた。
気持ち悪いと、汚らわしいとののしられた。
それを母親の口から聞くことになるかもしれないのに。
俺はまだいい。
母親に対して期待することはないから。
だけど深久はどうだ?
認められたい相手に否定され攻撃され罵倒される辛さを想像できないのか?
その時傷つくのは、深久だ。
「俺は絶対に反対だ。お前がどうしてもそうしたいっていうんなら俺はここへは戻らない」
深久は勢いよく立ち上がった。頬が紅潮している。
「どうしてそういう言い方するの?そんな交換条件みたいな言い方ずるいじゃん!」
「交換条件?そんなんじゃない。白い目で見られながら深久と平気で暮らせる気がしないだけだ」
「何で決め付けるのよ?言ってみようともしないで何がわかるの?もしかしたら認めてくれるかもしれないのに・・・!」
「もうやめよう、深久。もしかしたら、なんてあり得ない。言ってしまってもしダメだった時のことを考えてるのか?俺たちが引き離されてお前がイタリア辺りに連れて行かれる羽目になっても、それでいいと?」
深久は立ちすくんだまま動かない。
視線はうつむいたまま、きゅっと握ったこぶしが小さく震えている。
こんなに怒る深久は久しぶりだ。
怒りにつられ、ついキツイ言い方をしてしまった。
けれど、どうしても譲れないことはある。
それは最終的には深久を守りたいという気持ちから来るものだ。
その説明を怠ったせいで、深久を怒らせてしまった。
「あのな、深久・・・」
説明するつもりで言いかけたとき、それを遮るように深久がきびすを返した。
「わかったわ、話さない」
それだけ言い残して歩き去ろうとする。
「ちょっと待てよ・・」
慌てて立ち上がり、深久の腕を掴んだ。
「離してよ」
腕を振りほどこうとする深久を強引に抱き寄せる。
「俺は心配なんだよ」
深久の髪に顔をうずめ、囁くように語り掛けた。
「深久がもし母さんから認められずに否定されたらお前は絶対傷つく。
がむしゃらに説得したって世間の目は母さんに味方するし、結局公にもできない。俺たちは何も得るものがないんだよ。それに・・・認められたいから恋愛するんじゃない。好きだから、だろ?」
深久はふいにおとなしくなり、じっと動かなくなった。
俺はゆっくりと囁き続ける。ある意味、自分に言い聞かせるように。
「誰からの許しもいらない。俺とお前だけがわかっていればいい。俺はそう思ってる。それにそのくらいの覚悟がなきゃ乗り越えられないと・・・思うんだ」
様々な中傷や憶測、噂話が飛び交うだろう。
二人だけで暮らし続けていけば。
「・・わかってるよ。もう離して」
「嫌だ。離さない」
「ちゃんと・・・わかったから」
「ならそんな泣きそうな顔すんな」
哀しくなる。
俺だって、出来ることなら言いふらしたい。
みせびらかしてやりたい。
誰も近づけないように、自分のものだと公表したい。
それができればどんなに幸せだろう?
「お兄ちゃんは・・・兄妹じゃなければよかったって・・・思ってる?」
ふと、深久が聞いた。
思わないわけでもない。だけどもしも・・、なんてありえない事を夢見る時期はとうに過ぎた。
「考えても仕方ないことだろ?」
「そうだね。そう・・・もう寝るわ、私」
腕をするりと潜り抜けると、深久は部屋を出て行った。
「駄目だ。・・・お前がそう言い出すような気がしてたよ。駄目だ」
「どうしても?だって私、嘘つけない、多分・・」
「どうしても。母さんにこれ以上心配させたいのか?」
「それは・・やだけど・・・。でもきっとお母さんならわかってくれるよ?私お母さんにだけはわかってもらいたい」
「あのさ・・深久。いくらあんなモラルの欠片もないような母親だろうとさ、自分が産んだ子供二人が愛し合ってますなんて受け入れられると思うか?」
「そんなのはちゃんと話せばわかってもらえるよ」
俺は深久の頑固さにため息をついた。
わかってもらえるはずなどない。
深久には想像できないのだろうか?
俺は何度もサキとぶつかり合ってきた。
血の繋がっている深久を愛しているという感情を何度も否定されてきた。
気持ち悪いと、汚らわしいとののしられた。
それを母親の口から聞くことになるかもしれないのに。
俺はまだいい。
母親に対して期待することはないから。
だけど深久はどうだ?
認められたい相手に否定され攻撃され罵倒される辛さを想像できないのか?
その時傷つくのは、深久だ。
「俺は絶対に反対だ。お前がどうしてもそうしたいっていうんなら俺はここへは戻らない」
深久は勢いよく立ち上がった。頬が紅潮している。
「どうしてそういう言い方するの?そんな交換条件みたいな言い方ずるいじゃん!」
「交換条件?そんなんじゃない。白い目で見られながら深久と平気で暮らせる気がしないだけだ」
「何で決め付けるのよ?言ってみようともしないで何がわかるの?もしかしたら認めてくれるかもしれないのに・・・!」
「もうやめよう、深久。もしかしたら、なんてあり得ない。言ってしまってもしダメだった時のことを考えてるのか?俺たちが引き離されてお前がイタリア辺りに連れて行かれる羽目になっても、それでいいと?」
深久は立ちすくんだまま動かない。
視線はうつむいたまま、きゅっと握ったこぶしが小さく震えている。
こんなに怒る深久は久しぶりだ。
怒りにつられ、ついキツイ言い方をしてしまった。
けれど、どうしても譲れないことはある。
それは最終的には深久を守りたいという気持ちから来るものだ。
その説明を怠ったせいで、深久を怒らせてしまった。
「あのな、深久・・・」
説明するつもりで言いかけたとき、それを遮るように深久がきびすを返した。
「わかったわ、話さない」
それだけ言い残して歩き去ろうとする。
「ちょっと待てよ・・」
慌てて立ち上がり、深久の腕を掴んだ。
「離してよ」
腕を振りほどこうとする深久を強引に抱き寄せる。
「俺は心配なんだよ」
深久の髪に顔をうずめ、囁くように語り掛けた。
「深久がもし母さんから認められずに否定されたらお前は絶対傷つく。
がむしゃらに説得したって世間の目は母さんに味方するし、結局公にもできない。俺たちは何も得るものがないんだよ。それに・・・認められたいから恋愛するんじゃない。好きだから、だろ?」
深久はふいにおとなしくなり、じっと動かなくなった。
俺はゆっくりと囁き続ける。ある意味、自分に言い聞かせるように。
「誰からの許しもいらない。俺とお前だけがわかっていればいい。俺はそう思ってる。それにそのくらいの覚悟がなきゃ乗り越えられないと・・・思うんだ」
様々な中傷や憶測、噂話が飛び交うだろう。
二人だけで暮らし続けていけば。
「・・わかってるよ。もう離して」
「嫌だ。離さない」
「ちゃんと・・・わかったから」
「ならそんな泣きそうな顔すんな」
哀しくなる。
俺だって、出来ることなら言いふらしたい。
みせびらかしてやりたい。
誰も近づけないように、自分のものだと公表したい。
それができればどんなに幸せだろう?
「お兄ちゃんは・・・兄妹じゃなければよかったって・・・思ってる?」
ふと、深久が聞いた。
思わないわけでもない。だけどもしも・・、なんてありえない事を夢見る時期はとうに過ぎた。
「考えても仕方ないことだろ?」
「そうだね。そう・・・もう寝るわ、私」
腕をするりと潜り抜けると、深久は部屋を出て行った。
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