「ため息」〜激しいキスでその言葉を奪い取る〜
2003年6月16日(σ・∀・)σ95ゲッツ! ★おお〜素敵ヒッツ。ありがとございます!ゆぃさん神楽さん、お気に入りせんきゅ★
ベランダで煙草に火をつけ、夜空に向けて煙を吐き出す。
月がぼんやりとした蜘蛛に隠れ、時折姿をはっきりと現す。
からからと音を立てて深久もベランダに出てきた。
柵にもたれて空を見上げる俺の隣に寄り添うそうに立ち、こつんと耳を胸に当ててくる。
「母さんは?」
「お風呂入ってくるって」
それきり言葉をなくし、二人でその場にたたずんでいた。
そっと深久を見ると、見つめ返された。
夜目にも赤く、泣きはらした目をしている。
潤んだ瞳が月を照り返している。
抱き寄せたくなる気持ちをぐっとこらえる。
「お前ひどい顔してるぞ」
目を逸らしながら煙を吸って、吐き出す。
何も言わず深久がまだ見つめ続けている気配を左の頬に感じながら。
「お母さんの言いたいことはわかるわ。でも・・・」
「ああ」
残される者の辛さを感じないのだろうか。
そういう部分の身勝手さが俺には腹立たしい。
今更どこで何をしていようが、どんな生き方をしようが構わない。
ただ、生きていてくれさえすれば。
俺のこころの裡では母の存在はどうでもよかった。
深久の想いだけが、痛い。
「お兄ちゃん、私・・・お母さんのそばにいてもいいかなあ?」
突然、深久が言った。
その言葉の意味を3回くらい反芻して飲み込んで、初めて俺は深久をまっすぐ見つめた。
「お前、イタリアに・・・」
「ついて行こうと思う。少しでも、そばにいたい」
ずきずきと、胸がえぐられる。
それは、止められない。
わかってる、止められない。
けれど益々強い怒りが沸きあがってくる。
結局あの女は俺から深久を奪うのか・・・!
「・・・したいなら、すればいい」
やっと感情を押さえつけて俺はそれだけ言った。
「怒ってるの、お兄ちゃん・・・?」
不安げな声で聞いてくるのもいっそ頭にくる。
「怒ってない、別に」
「離れてても・・平気だよね?そんなもんじゃないよね、私達」
何も言わずに俺は吸いかけの煙草を落とし、足で踏みにじった。
そして乱雑に深久を抱き寄せ、口づける。
貪るように舌を絡ませ、息もつかせないくらい激しいキスで言葉を奪い取る。
左手で腰を支えたまま右の掌をシャツの裾から差し込み、荒々しく下着をずらし、胸をもみしだいた。
「ちょっ・・やだ、お兄ちゃ・・・」
唇から逃れようとする深久の顔を、雲の切れ間から顔を出した月が白く照らし出した。
吐く息が白くまとわり付いてくる。
深久の抵抗を再度唇で防ぎ、ベランダの手すりに押し付けるようにして腰だけをぐい、と引き寄せた。
華奢な身体がきしみそうなのは敢えて無視して。
「お願い・・・」
囁くような小声で言われ、俺は唐突に手を話した。
深久がずるずると崩れ落ちるようにその場に座り込む。
手すりに手を掛け、その上から覆いかぶさるように俺はかがみこんだ。
「俺は・・自信がないよ。そんな風に簡単にイタリア行きの結論を出せる深久を待つ自信も、愛されてる自信も。俺は・・・離れたくない」
「とりあえず中に入りなさいよ、あんたたち」
いきなり後ろから声を掛けられて、俺はびくっと振り向いた。
母がベランダへのガラス戸の陰から顔を出している。
「そんなところに居たら風邪ひくわよ?」
ソファに腰掛けうつむいたままの深久の向かいに俺は座り、深久の隣に座る母親の顔を見た。
見られたのなら仕方ない。
どうでるのか。
でもどう転んだとしても・・・深久だけは手放さない。絶対に。
母は深く、ため息をついた。
「まったく・・タオルとりに戻ってみればあんたたちなんだか修羅場やってるし。驚かせるわね・・・」
「で、どう思ったわけ?」
棘をにじませないように気を遣ってはみたが無駄な努力だったかもしれない。
その声は自分で思っていたよりも冷たく壁に跳ね返った。
「どうって・・・あんたたち二人とも間違いなくあの男と私の遺伝子受け継いで生まれてきてる訳だからねえ・・」
そう言ってもう一度、深々とため息をついた。
★ライターHPトップはコチラ↓
小説最初からでもおいしいトコだけ拾い読みでもヨシ!検索しやすいカレンダーつきぺいじ、御座います。
http://members.tripod.co.jp/raita_/index-2.html ★
ベランダで煙草に火をつけ、夜空に向けて煙を吐き出す。
月がぼんやりとした蜘蛛に隠れ、時折姿をはっきりと現す。
からからと音を立てて深久もベランダに出てきた。
柵にもたれて空を見上げる俺の隣に寄り添うそうに立ち、こつんと耳を胸に当ててくる。
「母さんは?」
「お風呂入ってくるって」
それきり言葉をなくし、二人でその場にたたずんでいた。
そっと深久を見ると、見つめ返された。
夜目にも赤く、泣きはらした目をしている。
潤んだ瞳が月を照り返している。
抱き寄せたくなる気持ちをぐっとこらえる。
「お前ひどい顔してるぞ」
目を逸らしながら煙を吸って、吐き出す。
何も言わず深久がまだ見つめ続けている気配を左の頬に感じながら。
「お母さんの言いたいことはわかるわ。でも・・・」
「ああ」
残される者の辛さを感じないのだろうか。
そういう部分の身勝手さが俺には腹立たしい。
今更どこで何をしていようが、どんな生き方をしようが構わない。
ただ、生きていてくれさえすれば。
俺のこころの裡では母の存在はどうでもよかった。
深久の想いだけが、痛い。
「お兄ちゃん、私・・・お母さんのそばにいてもいいかなあ?」
突然、深久が言った。
その言葉の意味を3回くらい反芻して飲み込んで、初めて俺は深久をまっすぐ見つめた。
「お前、イタリアに・・・」
「ついて行こうと思う。少しでも、そばにいたい」
ずきずきと、胸がえぐられる。
それは、止められない。
わかってる、止められない。
けれど益々強い怒りが沸きあがってくる。
結局あの女は俺から深久を奪うのか・・・!
「・・・したいなら、すればいい」
やっと感情を押さえつけて俺はそれだけ言った。
「怒ってるの、お兄ちゃん・・・?」
不安げな声で聞いてくるのもいっそ頭にくる。
「怒ってない、別に」
「離れてても・・平気だよね?そんなもんじゃないよね、私達」
何も言わずに俺は吸いかけの煙草を落とし、足で踏みにじった。
そして乱雑に深久を抱き寄せ、口づける。
貪るように舌を絡ませ、息もつかせないくらい激しいキスで言葉を奪い取る。
左手で腰を支えたまま右の掌をシャツの裾から差し込み、荒々しく下着をずらし、胸をもみしだいた。
「ちょっ・・やだ、お兄ちゃ・・・」
唇から逃れようとする深久の顔を、雲の切れ間から顔を出した月が白く照らし出した。
吐く息が白くまとわり付いてくる。
深久の抵抗を再度唇で防ぎ、ベランダの手すりに押し付けるようにして腰だけをぐい、と引き寄せた。
華奢な身体がきしみそうなのは敢えて無視して。
「お願い・・・」
囁くような小声で言われ、俺は唐突に手を話した。
深久がずるずると崩れ落ちるようにその場に座り込む。
手すりに手を掛け、その上から覆いかぶさるように俺はかがみこんだ。
「俺は・・自信がないよ。そんな風に簡単にイタリア行きの結論を出せる深久を待つ自信も、愛されてる自信も。俺は・・・離れたくない」
「とりあえず中に入りなさいよ、あんたたち」
いきなり後ろから声を掛けられて、俺はびくっと振り向いた。
母がベランダへのガラス戸の陰から顔を出している。
「そんなところに居たら風邪ひくわよ?」
ソファに腰掛けうつむいたままの深久の向かいに俺は座り、深久の隣に座る母親の顔を見た。
見られたのなら仕方ない。
どうでるのか。
でもどう転んだとしても・・・深久だけは手放さない。絶対に。
母は深く、ため息をついた。
「まったく・・タオルとりに戻ってみればあんたたちなんだか修羅場やってるし。驚かせるわね・・・」
「で、どう思ったわけ?」
棘をにじませないように気を遣ってはみたが無駄な努力だったかもしれない。
その声は自分で思っていたよりも冷たく壁に跳ね返った。
「どうって・・・あんたたち二人とも間違いなくあの男と私の遺伝子受け継いで生まれてきてる訳だからねえ・・」
そう言ってもう一度、深々とため息をついた。
★ライターHPトップはコチラ↓
小説最初からでもおいしいトコだけ拾い読みでもヨシ!検索しやすいカレンダーつきぺいじ、御座います。
http://members.tripod.co.jp/raita_/index-2.html ★
コメント