(σ・∀・)σ163ゲッツ! ★またまた素敵HITS!サンクス。みぃ☆さん気に入ってくれてありがとん★

二人がどんな話をしたのかはわからないけれど、俺が帰った時、深久は笑顔でお帰りなさい、と迎えてくれた。
そして母親と顔を見合わせてふふ、と笑いあう。
そうしていると二人は姉妹のようにそっくりだった。
負けるなあ、と思う。
人生経験の濃さは敵わない。
この母とはいつも勝負にならない。
そこは嫌っていても認められる点だった。
こうして1時間かそこらで頑固な深久を説得できる腕には脱帽だ。
「どう、頭冷やしてきたの?早生。深久にごめんなさいは?」
「・・・そういう言い方はまるで母親だな」
「もう、あんたって子は・・・反抗期かしら」
俺達のやりとりを聞いて深久がくすくす笑う。
「お兄ちゃんってお母さんの前だとちゃんと子供だよね」
まったく、この二人が連携すると俺など掌の上で転がされてしまうのだ。
「こわいこわい・・・」
俺がつぶやくと、母がくいくいっと顎で深久を指す。
「・・・ごめんなさい」
素直さを装って俺が頭を下げると深久がとうとう笑い出してしまった。
「お兄ちゃんってほんとカワイイ!」
「はいはい。で、結論は?」
不安を押し殺して俺は聞いた。
深久は笑顔を含み笑いに変え、俺を見つめた。
「お母さんね、ひとりで帰るって」
「・・・ひとりで?」
「ひとりで」
ふ、と気が緩む。よかった・・・。
そのとたん母と深久がまたくすくすと笑い出す。
「見た?今の顔」
そう言い合ってる二人をみているとため息をつきたくなってくる。
俺は照れをごまかすように何か飲む?と聞いてみた。
「ココア!」
と叫ぶ声が二つ重なり、俺は苦笑してキッチンへ向かった。

その夜、母と深久は二人で夜遅くまで部屋で話していたようだった。
いつまでも笑い声やひそひそ声が絶え間まく聞こえ、深夜を回った頃やっとやんだ。

席を外せと言われてから外をうろついている間、俺の心は焦りで一杯だった。
あっさりバレてしまったことに対するうかつさと、深久が目の前からいなくなるかもしれないという不安で目がくらんだ。
一旦手にしたものを失うというのがこんなにも恐ろしいことだとは思ってもみなかった。
目の前が暗くなるなんてお話のなかの出来事だと思っていたけれど、現実に胸のざわつきといたたまれなくなるほどの不安は目の前を黒く染める。
正直、部屋で深久の言葉を聞いたときはその場にへたりこんでしまいそうなくらいほっとしたのだ。
「よかった、本当に」
口に出してみて、改めて実感する。
こんなにも深く浸透している不思議な存在、深久という女の子。
依存している。
多分俺はもう一人では生きていけないな・・・。
ベッドに寝転んで、そのまま眠りが訪れるのを静かに待つ。

うとうとしかけた頃、ドアで小さくノックする音が聞こえた気がした。
控えめに、2回。
気のせいかと思って黙っていると静かにドアが開いた。
けれど疲れ切ったまぶたが重くて開かない。
それにこれは・・・夢の中の出来事のような気がする・・・。
もしかして深久かな、と思っている間に近づいてくる気配がして、頭を優しく撫でられた。
そして小さな小さな声が、頭上から降り注ぐ。
あなたたち、幸せになりなさい、と。

はっと目を開けると、部屋には誰もいなかった。
やぱり夢だったのかと思う。
けれど俺は目頭が熱くなった。
今まであがいても得られなかったものを今、ようやく手にしたような気がしていた。

永い、永い時を経て。

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でもこの話、そろそろ大詰め、だったりして・・・?
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