(σ・∀・)σ59ゲッツ!

その日の夜はソファに並んで座って映画のビデオを観ていた。
だけどすぐ隣で両手を組んで顎をその上に乗せ、食い入るように画面を見ているお兄ちゃんの方ばかりが気になってストーリーが全然頭に入ってこない。
一週間ぶりの二人きりの夜。
不安と期待が入り混じって胸が高鳴りっぱなしだった。
落ち着かない。
今更だけど、隣にいる人は恋人なんだよなあって自覚する。
こんな風に並んで映画のビデオを見たりするのは何だか照れる。

お母さんがいる間はキスも、きゅって抱きしめてもらうこともなかった。
関係がバレたせいで恥ずかしかったってのもあるのだけれど、どこかに罪悪感もあったんだと思う。
お兄ちゃんも、多分。
だから久しぶりにこうしてふたりきりになってしまうと、どうしたらいいかわからない。
お兄ちゃんはそんなこと考えないのかな。
表情を盗み見てみたいけど、そんなキモチが見抜かれそうで怖い。
画面に集中集中。
そう思ってテレビに目をやると映画はまさに山場で主役がキスシーンを展開していた。
こんな時、恋人同士だったらやっぱり映画に合わせてキスしたりするのかな。
そう思いつつ横目でお兄ちゃんを見たけれど、微動だにせず画面を見ている。
ちょっぴり期待はずれな思いを抱きがっかりしたりもする。
そんな心の動きがお兄ちゃんにわかるはずもないけれど、知らずのうちに頬に血がのぼる。
ひとりでなに考えてるんだろうなあ、私・・・

エンドロールが流れENDの文字が右下に小さく写って他の映画の宣伝に切り替わるとお兄ちゃんは座ったまま小さく伸びをしてすっかり冷たくなった紅茶に手を伸ばした。
「あ、淹れ直そうか?」
私が聞くといや、とつぶやいてそのまま紅茶を飲み干す。
「つまらなかった?」
いきなり聞かれてどきりとした。
「ううん、そんなことないよ。アクションもの大好きだし、面白かった。お兄ちゃんあの女優さんタイプでしょ?主役のヒトとくっついた人」
「いや・・俺のタイプは今目の前にいる人だから」
冗談口調でカップをテーブルに戻しながらお兄ちゃんが言う。
「・・よくそんな台詞はけるなあ・・恥ずかし」
茶化し返すとお兄ちゃんはにっこりと笑った。
「嘘はつけないんでね」
そう言うといきなり手を伸ばしてきて私の髪ひとふさつかみ、視線を合わせたままそこに口づけた。
それは映画のワンシーンと同じ仕草だ。
ふいうちに鼓動が跳ね上がる。
続けて左手を取られ指先にキス。
引き寄せられて、額にキス。
気が付けば、お兄ちゃんの腕の中だ。
「I want to be in this way all the time.」
それは映画の中で主人公が口にした台詞だ。
ずっと、こうしていたい。
「I want too・・・」
女優の真似をして私も答える。
視線がぶつかる音がすると、口づけが降ってきた。
溶けてしまうほど熱いキスが。

いつの間にかテレビの画面が激しい雨のような音を立てている。
一度だけ唇を離し、でも私の体は抱き寄せたままお兄ちゃんがリモコンで画面をオフにした。
部屋が静まり返る。
その代わりにさっきの映画の音楽が、頭の中で回りだす。ちょうどキスシーンで流れていたあの音楽。

何度か軽いキスを繰り返したあと唇を優しくかまれ、そして舌が割り込んでくる。
背中を上下する指先が次第に熱を帯びてきた。
セーターの裾からするりと手が差し込まれ、ブラジャーのホックに手を掛けられる。
お兄ちゃんは器用にもそれを片手ですんなり外して、そのままあらわになった背中を辿り始める。
上顎の裏を舌でなぞられた。
くすぐったいような気持ちよさで脳の奥が痺れ始める・・・。
背中に回された手が腰に移り、やっと唇を離したかと思うと今度はあちこちにキスされた。
気が付けばするすると服が脱がされていく。
耳たぶをかじられたときお兄ちゃんの息がかかり、ぞくりとした。
思わずのけぞってしまう。
小さくあげた声に、お兄ちゃんは意地悪な声でいいね、と言った。
「深久のそういう声が聞きたかったんだ」

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